介護現場で利用できるか 自立支援ロボ「愛移乗くん」
ムルソーです。
社会福祉の基本的な視点のひとつ「自立支援」
前回の記事で、介護ロボについてのお話をさせていただきました。
ここで取り上げた介護支援型ロボというのは、どちらかというと、介護スタッフの仕事を助ける為のものでした。排泄や移乗、入浴の介助など、それらの負担を軽減させるためのモノですね。
今回は、自立支援型ロボについてのお話です。
自立支援というのは、社会福祉の基本的な理念のひとつです。生活の中の全てを介助するのではなく、その人の出来ることを見つけ、活かし、支援する為に工夫し、環境整備をしていく。これが自立支援の基本的なスタンスです。
自立支援ロボ「愛移乗くん」とは
さて、そんな自立支援ロボの一つ、「愛移乗くん」というものについて調べてみました。
販売価格は39万8千円。介護保険を利用してレンタルもできるようだ。
利用者がハンドルに掴まり、ベッドから車椅子の移乗や、車いすからトイレの移乗を安全に行うことができる。
下半身が動かせない人でも、移乗することができるようです。90度まで回転でき、利用者が使用したまま、このロボットが移動するというワケではないみたいだ。
もちろん、認知症がなく、頭がクリアな人でないと、自力で使うのは難しいだろう。
これを使えば、下肢筋力が弱っており、自力で立つことが出来ない方の介助も、1人で出来るようになる。
今までだと、ひとりのスタッフが要介助者を抱えて立たせている間に、もうひとりが要介助者のズボンとパンツを降ろしていたが、このロボットがあれば、そういった「二人介助」が必要な方の対応が1人で出来るようになる。
現場での使用はできるか?
腰痛予防の為にも、導入をすすめると良いと思うが、慣れるまでには時間がかかるかもしれないと感じた。
というのも、今まで人力で移乗介助をしてきた人にとっては、ロボットにやらせるより、自分でやった方が早いと思うからだ。
ただ、(僕のいる施設も含め)ほとんどの介護施設は人手が足りず、時間ぎりぎりで現場を回している。次から次へと、利用者の介助をやっていかないと仕事がどんどん溜まってしまい、定時になっても帰れないことはザラにある。
そういう人員不足が解決すれば、慌てて仕事をする必要も無くなるので、ロボットに任せようという気持ちも生まれるだろうし、トイレ内での転倒事故も減っていくのではないだろうか。
もっとも、認知症があり、トイレ介助に対する拒否の強い利用者なんかは、また別の方法でケアしていく必要がありそうだ。